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寺宝紹介
□ 五大虚空蔵菩薩像
同七年に着工、十二年に完成した。承和元年に神護寺別当となった実慧、同七年別当をひきついだ真済が、その造営にたずさわった。 五大虚空蔵菩薩は金剛界の五智如来の変化身といわれ、富貴成就、天変消除をこの菩薩に祈って秘法を行う。 わが国での初見は弘仁十二年(821)、空海が両部曼荼羅、祖師像の新写の際に描かせた絵画であるが、本像もあるいはその像にもとづいて彫られたのかもしれない。 五大虚空蔵菩薩を修する法を金門鳥敏法(かのととりどしのほう)ともいい、変革の年といわれる辛酉の年に除災のため行われた。 本像は五体とも像高90センチメートルあまり。ほぼ同形の坐像で手の形や持物だけが異なる。 肉身の色は中尊の法界虚空蔵が白色、東方尊金剛虚空蔵は黄色、南方尊宝光虚空蔵は緑色、西方尊蓮華虚空蔵は赤色、北方尊業用虚空蔵は黒色に塗り分けられている。 いまは一直線に祀られているが、もとは東寺講堂の五菩薩像などと同様に、中尊を囲んで左右斜め前と、斜め後ろに他の四体が配されていた。 これらは、いずれも一木造で、両腕のひじから先に別材を矧ぎ付けるほかは一材から彫り出し、部分的に木屎漆で仕上げている。 彩色は九世紀末に塗りなおした記録があり、当初のものではない。 木製の宝冠、瓔珞、臂釧などの装身具も後のもので、光背、台座も失われている。 |
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